洋服感覚でクローゼットに収納できる便利な着物ハンガー「つる子さん」 – KIMONODE ITEMS 06

着物を収納する時、皆様はどうされていますか?
桐ダンスなどの着物に対応したタンスをお持ちであれば、特に問題ないと思います。

しかし、私たちの生活スタイルが変化する中で、タンスを持たない人も増えてきています。
かくいう私も、プラスチック製の収納ケースに着物を入れて保管しています。
ただ、収納ケースはその細長さがネックになりがちです。
下や奥に入っているものほど取り出しづらく、着物を普段着として着るには不便です。
かと言って、収納が狭い現代日本の住宅事情では、代用できるものも限られてきます。

今回ご紹介するのは、クローゼット着物ハンガー「つる子さん」。
そんな着物特有のお悩み解消にピッタリな商品です。(製造・販売元: 有限会社 京弥

着物を洋服クローゼットにかけて省スペース収納

「つる子さん」はその名の通り、洋服クローゼットに着物を吊るして収納できるお役立ちアイテムです。
このアイテム、普段着として着物を着る方にこそオススメです。

特長

その特長は京弥さんの特設サイトに書かれています。
ここでは、それをそのまま引用させていただきます。

  • 着物を畳んだ状態そのままに、吊り下げて収納できる。
  • 袖振りが開いている女性着物、仮絵羽にも利用できる。
  • タンスや衣装箱のように着物を重ねないので、着物の間にシワ防止の紙を挟まないで済む。=湿気を呼び込みにくい!
  • シワ防止効果抜群!
  • 最適な袖丈は45cm〜53cm(1尺2寸〜1尺4寸)程度。

これらの特長の中から私が特にオススメしたいポイントがあります。
それはやはり、着物を畳んだ状態でクローゼットや洋服掛けに吊るせること!

例えば、このハンガーを4〜5本用意して、そのシーズンに着る着物を吊るしておきます。
そうするといちいちタンスへしまわずに、着物をローテーションさせることができます。
*着物をあまり着られない方は1〜2本で十分です。

これは普段着として着物を着る場合、本当に便利なポイントです。

私は洋服メイン、着物をそこそこという頻度で着るライトユーザーです。
そんな私にも「今週は着物を毎日着たいな」という時があります。
しかし、そんな時でも必ず途中で一度はくじけそうになります。
その理由の一つとして、着物の収納場所への直しにくさ、取り出しにくさがあります。
着物はお手入れ(洗濯、干す、アイロンがけなど)で苦労しますが、さらにそれを畳んで収納具の中にしまうという作業もなかなか強度があります。
まして、それを再度取り出して使うとなると、その心理的負担は相当なものです。
私はこの「つる子さん」を使うことで、その負担をかなり軽減できるようになりました。

ハンガーとして考えると高価なものに感じられますが、私のように1〜2本持っているだけでも着物生活を快適にすることができます。
また畳んだ状態でクローゼットなどの中に吊るしておけますので、省スペースにも役立ちました。
ちなみに普通のハンガーへ着物を吊るして収納することもできないわけではありません。
しかし、着物はコートなどと比べても丈が長いため、普通のクローゼットでは裾が床についてしまいます。
「つる子さん」は、このような部分も解消できることが高ポイントです。

ぜひ、着物の収納でお悩みの方は試されてみてください。

「つる子さん」の仕組みと使い方

つる子さんは通常のハンガーと違い、全て金属でできています。
スチールをメッキコーティングしているため、サビで大事なお着物が汚れるということはありません。

*メッキに傷が入るとサビの原因となりますので取り扱いにはご注意ください。

また分離型と一体型の2種類があり、着物初心者の方には分離型がオススメだそうです。
その理由は、後述の開発者インタビューでご確認ください。

使用方法はYouTubeの動画を下記に掲載しますので、ご確認ください。

一体型の本畳みでの使い方

一体型の袖畳みでの使い方

分離型の本畳みでの使い方

分離型の袖畳みでの使い方

開発者インタビュー

有限会社 京弥 代表取締役社長 齊藤 誠史様(以下、齊藤社長)に開発者インタビューをお願いしました。
開発の裏話など、とても興味深い内容となっています。
ぜひ、ご一読ください。

KIMONODE 室長 岩本 朋之(以下、岩本)
今日は電話インタビューという変則的な形となり、本当に申し訳ございません。
つる子さんのこと、京弥さんのこと、いろいろとお聞きできればと思います。
よろしくお願いいたします。

(齊藤社長)
いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします。

(岩本)
まず、京弥さんのことについて、お聞かせいただきたいと思います。
私の中では、悉皆屋(*1)さんを本業とされているという認識でいます。

*1 悉皆屋(しっかいや): 衣服の染めや染め返しを仲介、専業とする人、店(会社)のこと。

(齊藤社長)
悉皆と言いますか、着物の加工に関することでしたら何でも行っています。
そのため、弊社では総合加工と名乗っています。
特に最近では悉皆と聞いてもわからない方も多いでしょう?

(岩本)
私もこの業界にいなかったら内容を知らないままの単語だったと思います。

齊藤社長とのご縁は、数年前の着物関連のイベントでお隣のブースだったことがきっかけでした。

(齊藤社長)
つる子さんが完成し、その初お披露目で参加させていただいた時です。
丁度3年前ですね。
それから少しずつお付き合いをさせていただいています。

(岩本)
月日が経つのは本当に早いですね。
いつも色々とご協力いただき、ありがとうございます。

開発のきっかけ

(岩本)
さて、つる子さんの話に移らせていただきます。
最初にお聞きしたいことは、「なぜ、つる子さんを開発するに至ったのか」についてです。
その経緯についてお聞かせいただければと思います。

(齊藤社長)
それはやはり着物が特別なものになりすぎているという理由が大きかったです。
七五三や成人式など、着物は特別な時に着るものだというイメージがあるでしょう?
それを「洋服と同じ感覚で着られるものにするためには」という想いがありました。

これまでにワンタッチ着物などの簡単に着られる着物なども開発しました。
しかし、これはなかなか難しく、定着しませんでした。
逆に撥水加工は定着して、今では多くのお客様にご利用いただいています。

では、その次の何かを考えた時、やはり自分たちがしてきたことから着想を得ることが自然な流れでした。
私共は加工を専門として、多くの着物のメンテナンスに携わっています。
その中で特にトラブルの元となりやすいものが、着物の保管です。

(岩本)
確かに着物の保管、特に正絹ものはとても難しい印象があります。

(齊藤社長)
その通りです。高価な着物ほど保管に気をつけなければなりません。
しかし同時に、普段着として着る着物の場合、そこまでメンテナンスをしなくても良いものもあります。
「そんな着物をハンガーに吊るしてクローゼットにかけられたら良いな」と思い立ったこと。
これが開発しようと思ったきっかけです。

(岩本)
なるほど、KIMONODEも同じ考え方がスタートになっています。
よく理解できるお話です。

(齊藤社長)
それで開発をスタートさせました。
最初は「社長が夜な夜な変なことしている」と社員たちにも白い目で見られていました(笑)

(岩本)
意外ですね。

(齊藤社長)
しかし、私は「これを絶対に成功させてやる」という気持ちでいました。
そのため、周囲の目は全く気にしていませんでした。
実際、これまでに2000本以上の売り上げをいただくロングセラー商品となっています。
本当にありがたいことだと思います。

一体型と分離型を作った理由、そして思わぬ結果に

(岩本)
そうして出来上がったつる子さんですが、2種類ありますよね。
弊社では一体型だけしか扱っていませんが、分離型という初心者用のものもあります。
分離型が着物初心者用とされたのは、なにか理由があるのですか?

(齊藤社長)
最初は一体型をメインとして開発していました。
しかし、つる子さんの形がある程度できてきた段階で、「初心者にはハンガーへ2枚の袖を同時に差し込むのは難しいのではないか?」という意見が周囲から出てきました。
そこで生まれたのが、袖にパーツを通してからハンガーへかける方式の分離型です。

(岩本)
なるほど。「着物初心者が使いやすい」という部分に特化させたわけですね。

(齊藤社長)
そうです。
しかし、販売後にリサーチをしたところ、一体型ばかりが売れているという結果が出てきました。

(岩本)
それはまた面白い結果ですね。

(齊藤社長)
つる子さんの当初想定していたメインターゲットは、着物初心者の方たちでした。
しかし、それ以上に「今、着物を普段着で着ている方」、つまり着物中級者〜上級者の方たちにつる子さんをご支持いただいた結果です。

(岩本)
たしかに着物を着ている人ほど、つる子さんを便利に感じると思います。
私は男性でありますが、実はつる子さんを使用させていただいています。(*2)
袖は折れてしまうのですが、そこだけアイロンかける方が楽なんですよね。

着回す着物を衣装ケースに入れなくて済む。
これは本当に便利なポイントです。
衣装ケースは保管するだけなら良いのですが、着物を取り出すことを考えると本当に不便で(笑)

*2 つる子さんは女性用ハンガーです。想定外の使い方のため着物を痛める可能性があります。ご注意ください。

(齊藤社長)
まさしくその通りです。
つる子さんを4〜5本程度用意して、そのシーズンによく着る着物をかけて使いまわしていただく。
これがベストな使い方です。

つる子さんが金属製となった理由

(岩本)
そんな便利なつる子さんですが、なぜ金属製となったのでしょうか?
木製やプラスチック製にされなかった理由をお聞かせください。

(齊藤社長)
その大きな理由は、つる子さんの構造にあります。
実物を見ていただいたらわかりますが、つる子さんは片持ち梁という特殊な構造を採用しています。
着物の掛けやすさを追求した結果、この形になりました。

更に、この構造は着物を「掛けやすい」以上に、着物から「取り外しやすい」ハンガーにしています。
ハンガーを横に引き抜けば、するりといっぱつで外れてくれます。
全くシワになることがありません。これ、かなり重要なポイントなんです(笑)

しかし、この構造の場合、片側だけで吊るすものの重量を支えることになります。
そうなると木やプラスチックでは、とても着物の重さを支えきれません。
着物は結構重いですからね。

そうした理由から、スチールにメッキ加工を施したものを採用したというわけです。
これをステンレスにすると原価が4倍になりますから、スチールを採用しました。
また女性が片手で持てる重さ、熱などの周辺環境で着物が痛まないことなども重要な判断基準になっています。

(岩本)
様々な試行錯誤を経ての金属採用だったのですね。

(齊藤社長)
自分で試作品を作っていましたからね(笑)

(岩本)
なんと、ご自身で試作されていたのですか。

(齊藤社長)
そうなんです。

(岩本)
正直、すごいという言葉しか出てきません(笑)

名前の由来とキャラクターの秘密

(岩本)
つる子さんといえば、そのネーミングも秀逸です。
最初に聞いておくべきことでしたが、このネーミングは吊るすという意味以外の由来もあるのですか?

(齊藤社長)
これは社内コンペをした結果です。

(岩本)
まさかの社内コンペ採用、びっくりしました。

(齊藤社長)
最初にお話しした通り、当初は従業員の目も冷ややかでした。
そこで従業員たちにも自分たちのこととして捉えてもらうため、製品名コンペをすることにしました。
その時、条件として出したのが「商品名が端的にその機能を表していること」でした。
私自身が格好つけた名前をつけたくなかったというのもあります。
そうして出てきた候補の中の一つが「つる子さん」です。
その名前を聞いた時に「採用!」と即決しました。

(岩本)
名は体を表す通りのいい名前だと思います。
あとパッケージに描かれているキャラクターがどのようにできたのかも興味あります。

(齊藤社長)
あのキャラクターは知り合いのデザイン会社さんからご提案いただきました。
その4点の候補の中から、これも社内コンペで選んでいます。
一番得票数が多かったのが、あのキャラクターでした。

(岩本)
ふくふくしていて、とても個性的な愛らしさがあるキャラクターだと思います。

(齊藤社長)
最初の頃は従業員の奥様が、鶴のキャラクターを手描きしてくれていました。
デザイン会社さんの候補の中にも、それを踏襲して鶴をモチーフとしたものがありました。
私自身、それに愛着がありました。

しかし、今のキャラクターは愛嬌があって親しみやすいのも事実です。
今では、弊社の梱包物全てにあの女性キャラクターのシールが貼られるようになりました。
すでに弊社にとって、なくてはならない存在になっていると思います。

(岩本)
初期の手描きのキャラクター、かなり興味があります。
機会がありましたら、ぜひ見せていただきたいです。

(齊藤社長)
弊社にお越しいただきました時に、ぜひ(笑)

(岩本)
近々、長崎に伺わせていただきたいですね。
今日は本当に色々なことをお教えいただき、ありがとうございました。
つる子さんにまつわるストーリーをお聞きすることができて、本当に良かったです。

(齊藤社長)
こちらこそ、このような機会をいただきましてありがとうございました。
つる子さん共々、今後ともよろしくお願いいたします。

*この他にも一般販売はされていない振袖用のつる子さんのお話しなどもいただきました。長くなりますので割愛させていただきます。

まとめ

着物生活を便利にするハンガー「つる子さん」について、開発者インタビューも含め、かなり詳細にまとめました。
急なお願いにも関わらず、快く応じていただきました齊藤社長には改めて感謝申し上げます。

ハンガーとして考えると少し高額に感じてしまいますが、使ってみると納得できる作りと機能になっています。
KIMONODEの着物ともかなり親和性が高く、できればお店のハンガーを全てこれに変えたいぐらいです(笑)

KIMONODE京弥さんのホームページ、どちらでもご購入いただけます。
気になっているという方、まずは1本ご購入されてみてください。
その使い心地に必ずご納得いただけるものと思います。

本ブログ中の「つる子さん」に関する全てのイラスト、ロゴマーク、写真の権利は有限会社 京弥に帰属します。
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